経歴
大平和正は1943年東京生まれ。武蔵野美術大学彫刻科を卒業後、造園設計を手がける。その一方で環境を意識した石、金属などによる彫刻を制作。
1974年、制作の場を求めて移り住んだ伊賀で初めて土と出会い、陶による制作も始めて創作の領域を広める。彫刻を志した時から、その対象は野外だった。自然空間や庭園のような開かれた空間の中での「ものの在り様」を欧米の造形理念とは異なる、日本の風土に根ざした環境造化という視点で陶、水、金属、石、庭などによる幅広い造形活動を展開。個展を中心に活動を続け、1999年、名古屋市にある昭和初期の邸宅を庭園ごと使った大掛かりな個展(インスタレーション)「加藤邸の造化<風と水と光と>」展は大きな反響を呼んだ。
2001年、「風還元(1991-2001)野外プロジェクト/伊賀・入道谷」展は、1991年から制作が開始され、2001年までの10年間でつくられた「風還元」シリーズ25点を、それらの想いを生んだ大地である入道谷の自然の中に解き放ち、谷全体を「風還元」という1つの作品として立ち上げんとする、個人の取組みとしては過つてない壮大な試みであった。
「風還元」の理念<大地=土からカタチを立ち上げる>という環境への根源的な問いかけや、そのスケールからも一作ごとに注目を集めている。
そして現在、「風還元」はその理念の必然から生まれたフォルムである「球体」という形を核にして表現されている。
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